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伝えたくなる時計の話

クオーツと機械式の違い、語れますか?

17-03-26

そのアナログ腕時計は、秒針が1秒単位で「カチ、カチ」と動いていますか? それとも、もっと小刻みに「チチチチ」と動いていますか? 前者は電気で動く「クォーツ式」、後者はゼンマイで動く「機械式」、と考えてほぼ間違いありません。デジタル液晶ウオッチなら、すべてクォーツ式です。

クォーツ式のメリットは、月差±20秒程度という精度の高さや、エレクトロニクス技術との親和性、比較的リーズナブルな価格など。クォーツ式の一種である電波ウオッチやGPSウオッチなら、10万年に1秒の誤差しか発生しない驚異的な高精度を腕にすることも可能です。

反対にクォーツ式のデメリットは、故障したときに電子部品の生産が終了していると、修理できない事態もありえること。電波ウオッチやGPSウオッチも、地下などで標準時刻電波やGPS信号を受信できないと、通常のクォーツ式の精度に落ちてしまいます。

一方、機械式時計は、巻き上げたゼンマイがゆるむ力を利用して時を刻みます。メリットは、電池が必要ないエコな機構と、故障しても歯車など機械部品さえ交換すれば、修理しながらずっと使い続けられること。裏蓋がガラス貼りになったシースルーバック仕様なら、そのメカニカルなムーブメント(内部機構)の動きを見て楽しめます。Knotの機械式時計は、リング状のテンプというパーツが1秒間に8回もの高速で振動していますが、その規則正しい“鼓動”は神秘的で、ずっと眺めていても飽きることはありません。

もちろん、機械式にもデメリットはあります。精度がクォーツ式に劣ること、大量生産が難しいのでコスト高になりがち、といったところでしょうか。

腕時計にクォーツ式と機械式があることをご存じない方は、実は意外と多いようです。たとえば、時計ショップでよく聞く“修理事例”に、こんな話があります。

1週間ほど前にスイス高級時計を購入した人が、お店に怒鳴り込んできました。「まだ少ししか使っていないのに、もう動かなくなった。このオンボロ時計、なんとかしろ!」

確かに何十万円もした腕時計がすぐ壊れたら、怒るのも無理はありません。でも、その方が買った腕時計は機械式。その場で店員がゼンマイを巻き上げると、止まっていた針が、すぐに動き出しました。「電池が切れたみたいなので、交換して」と、機械式時計を持ってくる人も多いようです。こうした初歩的な勘違い案件が、修理依頼の常に上位にランクインするというのですから、時計店としては笑い話ではすまされません。

そもそも機械式時計には、ゼンマイを手で巻き上げる「手巻き式」と、腕に着けていれば人の動きによってゼンマイが勝手に巻き上がる「自動巻き式」があります。どちらも人間がいなければ、数日で止まってしまいます。人が手間をかけてゼンマイを巻き上げることは、いわば腕時計に命を吹き込むこと。クォーツ式ほど正確ではありませんが、そんな人間味あふれる機械式時計の癒しこそ、忙しくて余裕のない現代人には必要なのかもしれません。