TOP > 伝えたくなる時計の話 > 時計を着けて「温泉」に入っても大丈夫?

伝えたくなる時計の話

時計を着けて「温泉」に入っても大丈夫?

17-04-04

温泉好きの友人から聞いた衝撃の告白。

一度、露天風呂の脱衣所で腕時計を無くしたことがあって、それからは腕に着けたまま温泉に入るようにしている」……それ、ダメ! 絶対にNGです。「ダイバーズウオッチだから」なんて言い訳も通用しません。

温泉には様々な成分が含まれていて、腕時計の外装素材に反応して腐食・劣化させることがあります。そもそも腕時計の防水性能のカギになるのは、裏蓋やリューズなどに組み込まれている防水パッキン。これは急激な温度変化に弱いので、温泉に限らず自宅でお風呂に時計を着けて入っているなら、防水パッキンの腐食や劣化が早まって、すでに新品時より防水性が落ちているかもしれません。

防水話のついでに、時計界に特有の防水表記についても触れておきましょう。

たとえばカタログに「3ATM」や「3BAR」と記載されていたら、それは「3気圧防水」のこと。厳密には1ATM=1.01325BARですが、ほぼ同じ意味と思っていいでしょう。でも、「“3気圧”は“30m”のことだから、水深30mまで潜れる時計」と考えてはいけません。実際には海面を泳ぐだけでも、腕の動かし方しだいで10気圧を超えてしまうこともあるのです。

3気圧防水とは、「日常生活防水」とも表記されます。洗顔時に飛び散る水滴くらいなら大丈夫ですが、直接水がかかる台所の食器洗いで着けておくには、5気圧防水あったほうが安心です。それでも、洗車場の高水圧シャワーの水を直接かけるのは危険です。

ヨットやジェットスキーなどマリンスポーツで使っても大丈夫な目安は、10気圧防水以上。実際に海で潜るには、20気圧防水のスペックが必要と考えておきましょう。

ただし、JIS(日本工業規格)やISO(国際標準化機構)に定められたダイバーズウオッチの規格に準拠していれば、100m防水でもダイビングに使用できます。防水表記を超える過酷な加圧試験をはじめ、耐衝撃性や耐塩水性など様々な試験に合格して、水深100mの潜水に耐えることが証明されているからです。

ちなみに国産時計の場合、このダイバーズウオッチの規格に準拠した時計にだけ、防水性を「m」単位で表記し、それ以外は「気圧」で表記する、という国内自主規制が設けられています。国内仕様は「20BAR」と刻印されているのに、同じモデルでも海外輸出仕様は「200m」と表記されることがあるのは、そのためです。とはいえ、200m防水の本格ダイバーズウオッチであっても、やはり装着したまま温泉に入るのは厳禁です!

プロフィール 大野高広
出版社を経て、編集プロダクション「オフィスペロポー」主宰。雑誌・書籍・広告の制作を行いつつ、15年以上にわたりスイス時計フェアの取材を重ね、時計ジャーナリストとして専門誌・一般誌に執筆中。