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MUSUBU プロジェクト秘話

“もったいない”から生まれたスキモレザー開発のアイデア

24-11-06

“もったいない”から生まれたスキモレザー開発のアイデア


昔ながらの職人が軒を連ねる浅草から、少し離れた場所に居を構えた大久保商店。スキモレザーの生みの親である大久保邦雄さんは、長年この地で革加工業を営んできました。中学を卒業してすぐ、やはり革加工職人だった父親と同じ職の道を歩みはじめ、職人歴はおよそ70年になるという生粋の皮革工芸職人です。


「うちの父親の時代から、月型と呼ばれる靴のかかとを補強する部品を作っていたんです。でも、月型は安価な商品だったから全然儲からなくて、もっと量産できないかと考えたんですね。それで自作の設計図を知り合いに持ち込み、機械を作ってもらったらうまくいきまして。商売が上向いたんです」

月型の原材料は靴やカバンを生産する過程で生まれた革の端材で、それも外側の銀面を剥いだ先にある肉面部分。カバン屋から端材を仕入れていたものの、生産数の増加にともなって供給が追いつかなくなり、自ら革卸問屋から直接買い付けるほどに。

「そうして買ってきた革は、ちゃんとした銀面もついていたんです。立派な素材だけど月型には使えないから、使い道に悩みましてね。それで思いついたのがスキモレザーだったんです」

 

芸術的センスによって描かれる独自の漉き模様



スキモレザーの名は、「漉き模様」から。革を幾重にも貼り重ね、型押しで凹凸をつくる。それを、水平方向に漉くことによって美しい階調を持つ、独創的で鮮やかな模様が現れます。植物の樹皮のような模様や動物の体表のような柄、アールデコ調の幾何学模様、ビビッドなカラーを差し込んだモダンなパターン……漉くことによって表れる模様はどれも1点もので、アート作品といっても過言ではありません。すべて大久保さんの創造力によって生み出され、完成品をイメージしたうえで革の種類や金型のつくり、使用する色、染める量、張り合わせ方、漉き方などを調整しているのだといいます。

「もともと絵が好きで、絵描きになりたいという夢を持っていたくらい。仕事が終わると絵を描き、時々 「上野の森美術館の美術館友の会」に行っていました。その絵を描く感覚が、スキモレザー作りに活かされたのだと思います」

端材の再利用に端を発するスキモレザーは、資源を最大限に有効活用しようという現在ではサステナブルと言える姿勢から生まれた素材。大久保さんは「貧乏人だから、経費かからないよう絶えず考えた結果です」と照れくさそうにいいますが、その優れた独創性は多くの関係者の目に止まり、財布やバッグ、靴、腰ベルトなどに採用されてきました。

 


 

原点は「人に驚いてもらいたい」という想い

スキモレザーの誕生はおよそ20年前。大久保さんが還暦を迎えた後のことでした。すでに円熟の革職人であったなかでスキモレザー開発を思い至りますが、木型製作も染色も未経験だったといいます。

「とにかく凝り性なんでしょう。製品の根幹部分ですから、誰か他の人にお願いするという考えはなくて。専門家のところへ話を聞きに行って、一から学ばせてもらったんです。やることいっぱいで絶えず忙しいんだけど、でも楽しいんですよね(笑)。きっと、誰もやっていないことをやって、人に驚いてもらうのが好きなんですよ」

そうして生み出されたスキモレザーの種類は、「絶えず変わっちゃうから全部の数はわからない」というほど。

「染色の量や染め時間を少し変えるだけで革内部への染み込み具合も左右されて、漉いたときに表れるグラデーションも違ってきますから。それを見て感じる印象も変わりますから、どうしたって1点モノになってしまうんですね」

スキモレザーは特許取得済み。自慢の型は企業秘密!大久保さんしか生み出すことができない、希少な革素材なんです。

 

領域を広げ続ける好奇心


凝り性だという大久保さんの好奇心は、革細工にも向くように。工房にはフクロウやヒマワリ、洋館など、大久保さんご自身がスキモレザーで作ったという工芸作品が展示されていました。フクロウ作品を作るため上野動物園に数週間通い詰めて本物を観察したり、ヒマワリ作品は上野の国立西洋美術館でゴッホの名作「ひまわり」を見たことがきっかけだったりと、芸術肌なエピソードも飛び出しました。革以外でも、観賞用の菊づくりをはじめて2年で賞を受賞したという逸話も。

 

スキモレザーによる唯一無二のストラップが完成



今回、Knotは大久保さんと意見を交わした末、スキモレザーを使った4色のストラップを製作しました。スキモレザーを代表する作品のひとつである木目をイメージした模様を採用。18mmというベルト幅ながら、この素材特有のグラデーションや有機的なパターンをしっかり味わえるものに仕上げました。

「手先を使う職人ですから、いつもは時計を着けないのですけど、いいモノはわかります。今回、こうやってスキモレザーをKnotさんに使っていただき、うれしい限りです。製作過程では『もっとツヤ感があったら高級感が増すな』とか『染色もこうしたほうがいいな』とか、いろいろ気付かされることもあり、勉強させてもらいました」

大久保さんとKnotを“MUSUBU”ことで生まれた、この世にひとつしかないスキモレザーストラップ。唯一無二の模様を味わってみてください。

 

Maker’s Watch Knot スキモレザー ストラップ

Maker’s Watch Knot MUSUBUパートナー 大久保商店

 

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こちらの記事に掲載されている価格は、2022年8月現在の情報です。
最新情報は Maker's Watch Knot 公式サイト をご覧ください。