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伝えたくなる時計の話

スポーツ計時とともに進化したクロノグラフ

17-01-06

スポーツファンにとってリオ五輪の夏は終わりましたが、F1鈴鹿GP、サッカーワールドカップ予選と続き、ウィンタースポーツシーズンも始まろうとしています。こうしたスポーツ競技をTVで観戦しているとき、画面に表示されるタイム情報の近くに、時計ブランドのロゴを見つけたことはありませんか。それはオフィシャルタイムキーパー(公式計時)を務めている時計メーカー。スポーツ計時と時計界(とくにクロノグラフ)は、古くから切っても切れない関係にあるのです。

クロノグラフとは、経過した時間を測定する機能、つまりストップウオッチ機能を持つ時計のこと。ネーミングのクロノは「時」、グラフは「描く、記録する」を意味しています。

1878年には、世界で初めて懐中時計型クロノグラフが量産化され、1896年の第1回近代五輪では1/5秒単位まで計測できるクロノグラフが使用されました。1932年のロサンゼルス五輪では、1/10秒単位まで公式に記録されるようになります。

また、クルマが誕生し、人力に比べて異次元ともいえるスピードを実現した際にも、クロノグラフはその楽しさを“時間”という単位で表現しました。クルマが進化してスピードアップすると、より高い計測精度が時計界に求められ、両者は競い合うように進化を続けていきます。

1970年代には、時速300kmを超えるF1GP界に1/1000秒計時が導入されました。1966年に1/1000秒計測装置を開発していた時計メーカーが、1971年からフェラーリ・チームの計時を担当すると、そのあまりの精度の高さによって、フェラーリ・チームの抗議でF1全体のオフィシャルタイムが何度も訂正されるという事態も発生しています。

計時技術はさらに進化し、F1マシンに取り付けた発信機の信号を、地中に埋めた小型センサーで測定する計測システムが、1978年にF1公式計時に採用されます。時速300kmなら、1000秒の1秒差は距離にして約8cmの差です。2004年には、地上最速レースである米国インディ500に1/10000秒の公式計時が導入され、実際に2006年には欧州の別のレースで、2/10000秒差という史上最も僅差のゴールが計時されています。

ちなみに、クロノグラフ専用のプッシュボタンが腕時計に装備されたのは1915年。リセット専用ボタンも付いて、現代と同じ2つのプッシュボタンで操作するスタイルが誕生したのは1934年のこと。右上のボタンを1回押して計測をスタートさせ、もう一度同じボタンを押してストップ、さらに右下のボタンで計時結果をリセットする──Knotのクロノグラフにも共通するこのシンプルで洗練された操作方法には、機構的にも精度的にも、先人たちの凄まじい技術革新の歴史が受け継がれているのです。