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MUSUBU プロジェクト秘話

腕時計のための組紐「十三打ち」の魅力

17-07-25

3本以上の縦糸の束を、順番に交差させて組み上げてつくる伝統工芸品、組紐。そのパターンは、色や束の数、交差の手順を変えることで、無限に広がっていきます。それゆえに、用途やデザインによって、各組紐メーカーではさまざまな組紐が作られてきました。今回は、組紐の主な種類と、新しく開発された腕時計のための組紐「十三打ち」についてご紹介します。

組紐には「丸紐」と「平紐」の2種類が存在する

組紐の種類を大きく分けると、「丸紐」と「平紐」の2つがあります。「丸紐」は、名前の通り円柱状の紐で、紐の中が空洞になっているものと、中までしっかり糸が組み込まれているものがあります。空洞のものは、芯の部分に針金やテグスなど様々な素材を使って、その周りに紐を組み上げていくことで、硬さや張り感のある組紐をつくることができます。

Knotの時計ストラップをつくっている組紐メーカー「昇苑くみひも」では、代表的な丸紐として「四つ組」「八つ組」「洋角」「唐打ち」「角杉」「金剛」「静海」などを製作しています。

左から四津組、唐打ち、洋角

「四津組」は、組みに使う束の数が少なくシンプルな構造ですが、バランスよく綺麗に組むために熟練の技術が必要で、手組において最も難しい組紐とされています。「八津組」と「洋角」は同じ8束で組む紐ですが、それぞれに糸の流れが異なり、模様や形が異なります。「洋角」は角八つとも呼ばれ、やや四角い形状が特徴の個性的な丸紐です。

「唐打ち」(十六打ち)は、16束で組む紐で、四津組や八津組に比べて表面の目が細かいことが特徴。一般に寺社仏閣等で多く使用される紐で、念珠を通す紐や大きな飾り結びなどにも用いられることが多い組紐です。非常に硬く引き締まっており、中に空洞を作りながら組むこともできるので、様々な用途で利用されます。

「角杉」や「金剛」「静海」などの組紐は、束の数と糸の流れを変えることで、表面の模様をより複雑に変化させ、生まれました

厚さと幅の高度な調整を可能にした「十三打ち」

「平紐」は、丸紐よりも装飾性が高く、組目で文字や模様など、複雑なデザインを組み込むことができます。細かい模様や組目を作る際に用いる高台では、組み込む糸の束を52束から、多いものではなんと100束まで用いることもあるそう。

細かい模様や組目の組紐を手作業でつくる際に用いる高台

代表的な平紐の種類には、「九打ち」「十三打ち」「二十五打ち」と使う束の数を示したものや、「平唐打ち」「重打ち」「綾高麗」「大和組」「縮緬組」など素材や組み方に工夫をこらしたものなどがあります。

「綾高麗」は、束の数が多く糸の量が増えても、分散させる工夫を加えているため一定の薄さを保ったまま広い幅の紐が組めるもの。「大和組」は、糸の束に撚りをかけずに組んだもの。凹凸が少なくなり表面が非常にフラットになるため、より美しく見えるのだとか。また、表と裏の色を変えてリバーシブルの組紐に仕上げることができるという特徴も。

「九打ち」や「十三打ち」は、用いる束の数を頭につけた組紐。数が多いほど紐の幅は広くなっていきます。ちなみに“打ち”という呼び方は、手作業で紐を組んでいた時代、ヘラのような道具を使って、糸の交差する部分を打ち込むように、叩きながら組んでいたことに由来しているそう。

なかでも「十三打ち」は、幅18mm、厚みが2mm以内と決められたKnotの時計ストラップを組み上げる際の調整の難しさから、まったく別の視点で試行錯誤の末に生み出された新しい組紐。本来、組み上げる際に使う糸の束の代わりに、すでに組み上げられた空洞のある丸紐(唐打ち)を使って組んでいます。空洞があることで、組み上げる時に紐が潰れ、自由自在に厚みを調整することができるという画期的な組紐なのです。

昔から存在する組み方を大切に受け継いでいく一方、老舗組紐メーカーは、こうした新しいコラボレーションを成功させるため、機能性や組み方に工夫を凝らして、新たな組紐を次々に生み出しています。進化し続ける工芸品のこれからに、注目していきたいですね。