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ボタニカルレザーの時計に恋した日

21-06-21

ニューヨーク留学中、草木染めの魅力に引き込まれたというエディターの横山理恵さん。蔵前にある染め工房Maito Design Worksの草木染めマスク、その後「やさしいボタニカルレザーとメンズ風時計のギャップに惹かれた」という、Knotの時計に出合うまでの軌跡を辿ります。

きっかけは、NY留学とコロナウイルスでした

ニューヨーク留学中、偶然出合ったNatural Dye(花や草木などの植物染め)のワンピース。Cara Marie Piazzaさんというアーティストがブルックリンのアトリエで生み出す作品に一瞬で虜になったのです。彼女の製法は独創的で、お花を直接布に当て、タイダイ風に花を浮かび上がらせるというもの。フラワーショップで廃棄になる植物を使用するという、サステナブルな考えにも共感しました。

日本帰国後、Natural Dyeについて調べていたところ、一本のメールが!「Knotという時計ブランドが、ボタニカルレザーの製品を出すらしい」と仕事仲間が教えてくれました。そんな運命的なご縁があり、今回、草木染め工房Maito Design WorksとKnotの新作についてお話を伺えることに。

カラフルすぎる靴下とマスクに、ひと目ぼれ

Maito Design Worksは、“日本のブルックリン”と噂の蔵前にあります。お店に足を踏み入れると、色とりどりのシルクの靴下や栗や藍で染められたオーガニックコットンのマスクがずらり。実際に染色で使用されるざくろや桜の枝も一緒に並んでいるのですが、天然の藍には、細菌の繁殖を抑える効果があるとのこと。初耳でした。草木染めというと繊細な色をイメージしますが、とにかくカラフルで「楽しい!」んです。

“2分で完売する”と噂の草木染めのワークショップ。予約はなかなか難しそうですが、キットを使えば、自宅でMYマスクを染められる⁉︎ と、素敵なおうち時間を妄想。そしていい意味で裏切られた、ストライプのポーチ。こちらは先染めという製法で、まず現綿の状態で染色し、糸を紡ぎ、それを織ることでこのような柄物も生み出せるそうです。

な、なんと、Maitoの工房潜入に成功!

工房にも、無理を言ってお邪魔させていただきました。奥で真摯に染め作業に向き合っているのが、オーナー兼染色家の小室真以人(まいと)さん。まるで和太鼓の音頭を取るかのようなリズミカルな動きです。

小室さんのお話で、なにより心に響いたのが「自然のいのちをいただいている」というお言葉。「剪定した桜の枝(桜染めは花びらでなく、濃い色素を溜め込んでいる枝を使用する)が、全国から集まるのですが、色を抽出している際は感謝してなりません。色は植物が育った場所、品種、その年の気候などにより、毎年異なります。一番出汁が美しいときもあれば、出涸らしが美しいときもある。ふたつと同じ色はなく、まさに一期一会! だから草木染めは楽しいんです」

東京藝術大学で染織を学ばれた小室さん。学生時代から草木染めに魅了され、イタリアの染色工房を飛び込みで訪れたりもしたそう。「実験が好きなんです。草木染めでコットンやシルクなどの布から、木、陶器、レザー、和紙など、あらゆるモノを染めてきました。でもレザーの染色だけは、なかなか定着しなかった…。長年研究し続け、ようやく自信を持って製品化できるようになりました」

草木で染めたレザーが、なんと腕時計に

小室さんの愛が詰まった草木染めの革「ボタニカルレザー」が腕時計のストラップに使われているとのこと。その新作ストラップと時計を見るため、次は表参道にあるKnotの旗艦店へ。

いろいろなご縁をいただき、今回はじめてKnotを知ったのですが、驚いたのがフェイスもストラップも、すべて付け替え可能ということ。しかもレザーやデニム、ラバー、帆布、印伝など、すべて日本の名工房とタッグを組んだ、豊富なバリエーション。感度の高い大人は、いまどき時計までお着替えさせる時代なのですね。知らなかった…。お目当てのボタニカルレザーのストラップは、槐樹(クリーム)、茜(ピンク)、正藍(ネイビー)、屋久杉(グレー)で染められた4色です。

ひと目惚れしたのが写真右の組み合わせ。ボタニカルレザーのやさしいニュアンスは素敵だけど、どこかにカッコよさも欲しい。そこでオールブラックのフェイスを合わせてみると、メンズライクな雰囲気にキュン。やっぱり、人も時計も、ギャップがあると惹かれますよね。つけてみるとボタニカルレザーのやさしい色合いらしい、手首にしっとりと馴染む感触。ストラップは経年変化も楽しめる、まさに“育てる時計”と言えそうです。小室さんのお話も思い出し、終始ときめいた1日でした。

※この記事に掲載されている情報は2021年5月時点のものです。

(初回公開日:2021年5月14日)