金沢 箔一とのコレボレーション【新作・TAKUMI Collection】
25-09-25
【目次】
1. シェア99%!金沢箔の技術
2. 金沢 箔一の技術が詰め込まれた特別な新モデル
山本:今日私が着けている時計は、2024年にKnot10周年限定モデルとして発売されたプラチナ箔モデルです。もう手に入らないのかなと思っていらっしゃる方もいるかもしれませんが、特別なニュースがあります。お伺いしていきましょう。
シェア99%!金沢箔の技術
斎藤:こんにちは、箔一の斉藤と申します。
山本:こんにちは、よろしくお願いします。これ(着用モデル:10周年記念限定モデル「Platinum 箔」)、いいですよね。

斎藤:これは、細かく砕いたプラチナの箔を敷き詰めて、その上にしっかりとコーティングを施していますので、光の加減によっても綺麗にみえる、贅沢な仕上げになっています。

山本:箔の薄さって?
斎藤:約1/10,000㎜です。
山本:私、勉強してきました。10円玉を畳数枚ほど広げるような薄さだそうですね。
斎藤:はい。箔を1万枚重ねてやっと1ミリの厚さですから、もうほとんど厚さがないようなものです。
山本:もともと、金沢の藩祖である前田藩が豊富秀吉から箔の製造を命じられたことが始まりだとか。
斎藤:お詳しいですね!
山本:予習しています!(笑) 最初は武具などの装飾に使われていたものを、どんどんいろんな工芸品として利用するようになったと。今、箔の生産地のシェアは?
斎藤:99.9%…ほぼ100%近くが金沢で作られています。
山本:そうなんですね!金沢、すごく好きな街なんですよ。おでんも美味しいですよね。
斎藤:おでんもおいしいし、お酒もお魚も美味しいです。あとカニですね(笑)
山本:箔一さんは、金沢で1975年から?
斎藤:はい、今年ちょうど創業50年の会社です。
山本:おめでとうございます。
斎藤:ありがとうございます。こういう工芸品以外にもテーブルウェアやインテリア、あと、化粧品とか、食べられる金箔とか…

斎藤:あとは、ファッションのハイブランドさんの内装を箔で彩らせてもらったりもしています。
山本:幅広いなあ。
斎藤:「水と空気以外なんでも箔を貼れる」という会社です(笑)
山本:いまに水と空気にも貼られると思います(笑)
山本:今日、いくつか(箔の製品を)持ってきていただきましたけども、こちらについて教えてください。
斎藤:はい、今回持ってきたのはこれです。
切り回しと呼ばれる技法で、細かく砕いた箔やを竹の筒に入れて、メッシュ状になっている竹の先から降らせて、ゆっくりゆっくり雪のように箔が貼られていく、そういう仕上げのグラスです。ふたつとして同じものはありません。偶然性とか一期一会とか、出会いで買っていただいたり。
山本:ということは、私が腕にしているこれ(記念モデル「Platinum 箔」)も、一枚一枚降り広げていくわけですから、同じものはふたつとしてない。
斎藤:そうですね。さらに、貼っただけだとダメで、そのあとしっかりとコーティングをしていかないと剥がれてしまいます。
山本:他にも何か持ってきてくださっていますね?
斎藤:もう一つ持ってきたのはこちらのお重なんですけれど、先ほどコーティングを施すと申し上げましたが、そのトップコートに薄い染料をまぜています。
山本:え、このネイビーの色はトップコートでつけられていると。
斎藤:そうなんです。トップコートに色を用いてそれを何層も何層も塗っていくことで、箔の質感も残しながら色を載せるという特別な技術をもっていまして、そういった技術がKnotさんのいろんなモデルに活きたりとか。
山本:そうなんですね!
山本:なんか…今ここに膜のようなものがありますが…
斎藤:ちょっと金箔、つけてみますか?
山本:え!さっき水と空気以外っておっしゃってましたけど、人間にも貼れるんですか?
斎藤:はい。金箔って、静電気とか水分とかで簡単にくっついちゃうんです。貼っただけですが、肌そのものが金になったように見えますよ。
山本:あれぇ!(笑)

斎藤:凹凸があるものとか、ちょっとしたでこぼこみたいなものには全部追従して貼ることができるんですね。逆に言うと、埃が一個でも入ってるとそこが出てしまう。工芸品はすごく繊細に仕上げをしています。
金沢 箔一の技術が詰め込まれた特別な新モデル
山本:今回、匠コレクションの特別なモデルを作ってらっしゃるとお伺いしたんですが。見てみましょう!
斎藤:これがですね…かなり手が込んでいます。今回、一番下にはプラチナの箔を敷き詰めてあるんですが、その上にさっきのお重で見ていただいた、色のついた透過性のあるトップコートを塗っています。
山本:私がつけている限定モデルでは切り回しでプラチナ箔が敷き詰められていますが、今回のモデルでは(箔の上にさらに)ネイビーの色をつけている?
斎藤:そうです。
山本:これは…時計の企画担当の松村さんが注文つけましたね(笑)
斎藤:細かいことをおっしゃるんですよ、こだわりがすごくある方で…(笑)
山本:この、上にふりかけている箔だけだと10周年記念モデルより箔の量が少ないじゃないか、と思われるかもしれませんが…
斎藤:今回のモデルは(プラチナ箔を敷きネイビーのトップコートをして)、さらに金とプラチナの箔を散らしています。
山本:さっきのお話じゃないですけれども、腕時計一つ一つの箔の入り方というのは。
斎藤:ふたつとして同じものはないです。
山本:ほぼほぼアートピースというか、工芸品みたいなものですね。
斎藤:そうですね。腕時計って毎日見るものですから、見た時に気分が上がる。そういうところで、やっぱりいいものを身につけていただけたらなという思いで作らせていただきました。
山本:素晴らしい。見ると、箔の上で針が目立つように通常のKnotのモデルより針が太くなっている。そういうところもこだわりかなと思いますね。これ、限定じゃなくレギュラーで出して大丈夫?
斎藤:いま職人が鋭意製作中で仕上げしてます。
山本:若い技術者さんなんですか?
斎藤:そうですね。うちは女性の職人も多くて。こういう繊細なものとかデザイン性のあるものは楽しみながら挑戦させていただいております。
山本:そうなんですね。私もいろんな匠の工房を見に行かせていただいてますが、この前、唐津や有田の器の市に行きましたけども、有田はね、女性の職人さんが多かった。伝統技術を若い世代、次の世代に、女性を含めて引き継いでいかれるというのは、本当に大切ですよね。
斎藤:箔は1万分の1ミリという世界ですのでこういった精密機械にも干渉せずに美しい仕上げを施せるというのも、Knotさんに目をつけていただいたところもあると思います。
山本:そうなんですね。すばらしい。
ずっとKnotさんのものづくりを見てきて、今まで特にストラップにものづくりを搭載していることが多かったんですが、斎藤さんがおっしゃった通り、腕時計そのものにも日本のものづくりを搭載している。10周年を超えてKnotのまたチャレンジのステージがまたひとつ上にあがっているなという気がします。

山本:20〜25年くらい前から、スイスの時計の見本市…バーゼルとかジュネーブに行っていますが、多くのスイスのブランドあるいはフランスにルーツを持つブランドが「メティエダール」という言い方で、工芸品に対してきちんと支援をして時計にその技術を反映させるということをしていますけれども、まさにこれはKnotさんがメティエダールに挑戦していくような第一歩じゃないかなと思いますね。
今後も応援していきます。ぜひ工房も見せてください、取材に行きたいと思います。今日はありがとうございました!
斎藤:お待ちしております。ありがとうございました。
山本さん、斎藤さん、ありがとうございました。
発売日について
2025年9月26日 一般販売開始予定
本記事は、7月に配信されたKnot公式インスタグラムライプより、 山本晃弘さん(服飾ジャーナリスト)と斎藤猛さん(金沢 株式会社箔一)による金沢箔とMaker’s Watch Knot 匠コレクションについてのお話を掲載しています。
公式インスタグラムにてアーカイブムービーをご覧いただけます。
こちらの記事に掲載されている価格は、2022年8月現在の情報です。
最新情報は Maker's Watch Knot 公式サイト をご覧ください。