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伝えたくなる時計の話

ソーラーウオッチは地球温暖化対策にも効果あり?

17-07-30

2020年以降の地球温暖化対策を定めたパリ協定からの脱退を、米国のトランプ大統領が宣言して巷を騒がせています。日本では2011年の東日本大震災以降、再生可能エネルギーへの注目度が急速に高まりました。とくに普及が進んだ発電方法のひとつが、太陽光発電でしょう。地球に降り注ぐ太陽エネルギーは、電力に換算すると約1.77×1014kWと言われており、そのわずか1時間分で、世界が消費している1年分のエネルギーに相当するわけですから、利用しない手はありません。太陽光発電は環境を汚染する物質を排出せず、可動部分がないため振動や騒音も発生しません。まさに無公害のクリーンエネルギーです。

時計業界でソーラーウオッチが市販化されたのは1970年代です。太陽電池の小型化とクォーツ式腕時計の普及を受けて、1976年にシチズンが世界初のアナログ式太陽電池ウオッチを発売しました。ただ、当初はソーラーパネルの性能が高くなかったため、電圧が低く、アラームやクロノグラフなど多機能時計が作れませんでした。また、文字盤にセットしたソーラーパネルの色によってデザイン的な制約を受けていました。しかし、技術の進化によって、光の変換効率は劇的に向上しました。カシオやセイコーも独自にソーラーウオッチ技術を開発し、今やこのジャンルは日本メーカーの独壇場となっています。

発電効率を高めることでソーラーセルの面積を抑えることができ、さまざまな文字盤カラーやデザインが実現可能になりました。また、太陽光はもちろん、蛍光灯などのわずかな光でも動力に変換可能となり、一方でエネルギーを蓄える二次電池の大容量化により、電力消費の激しい機能もストレスなく駆動できるようになりました。さらには省電力設計により、暗いところでもフル充電で数ヶ月以上動き続けるモデルが生まれ、中にはパワーセービング機能を搭載して何年間も駆動可能なモデルが登場しています。近年、人気を博している電波時計やGPSウオッチは、ほぼ太陽光発電システムを備えていると考えて間違いありません。

電池交換の必要がない便利なソーラーウオッチですが、暗い場所では充電されません。長袖を着ていると腕に装着しているだけでも十分ではないので、時計を外したときは、光がよくあたる窓際で充電するのがお薦めです。ちなみに光の強さは、真夏の直射日光は約10万ルクス、曇りの日が約1万ルクス、30w蛍光灯から5cmの距離でも約1万ルクス、20cm離せば約3000ルクスとなり、一般的なオフィスの机に置いている状態で約500ルクスです。

さまざまな先進技術と融和性が高いソーラーウオッチは、これからも発展余地があり、将来性のあるジャンルと言えます。唯一、不満があるとすれば、ソーラーウオッチの進化は、これまで高機能化という一方向にしか進んでこなかったこと。ところが、最近になって新たな動きも出てきました。たとえばKnotでも最近、ソーラーウオッチ界の硬直したデザイン性を打ち破るべく、チタン製のスタイリッシュな3針ソーラーウオッチを発表しました。多機能化以外の方向性が見えてきたことで、ますますソーラーウオッチの将来が楽しみになってきました。



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