栃木レザーの魅力とは?きれいにエイジングさせて味わいのある革に
18-08-30
腕時計のベルトや財布、革靴などによく使われている「栃木レザー」。化学薬品を用いずに作られており、使い込むほどに革本来の味わいが出てくるほか、丈夫で長持ちするため、国内外で高い評価を得ています。とはいえ、興味はあるものの、お手入れが大変そうで手を出しづらいと思っている人もいるのではないでしょうか。
この記事では、栃木レザーの特徴や製造工程、きれいにエイジングさせるポイントについてご紹介します。
【目次】
1.栃木レザーの魅力的な特徴
2.栃木レザーの製造工程
3.栃木レザーをきれいにエイジングさせるポイント
4.Knotのオリジナルベルトで栃木レザーの風合いを楽しもう
栃木レザーの魅力的な特徴
日本に限らず、世界でも支持されている栃木レザー。ここでは栃木レザーの魅力や、ほかの皮革との違いなどについてお伝えします。
●栃木レザーとは?
栃木レザーは、栃木県のタンナー(なめし革業者)である栃木レザー株式会社が製造しているヌメ革を指します。
ヌメ革は、植物性のタンニンを使って原皮をなめし、表面加工をほとんどせずに仕上げたもので、一般的には牛革です。一方、化学薬品(塩基性硫酸クロム)を使ってなめしたものをクロム革といい、流通している革の多くはクロム革です。
栃木レザーは昔ながらのなめし工程で作られており、同社では原皮の仕入れからなめしまでを自社工場で一貫して行っています。つまり、職人が伝統的な製法で時間をかけて作っていることが、最高品質の理由というわけです。魅力は本革が持つしなやかさとタフさ、シンプルながらも経年変化(エイジング)したときの味わい深さと言えます。
●栃木レザーと姫路レザーの違い
日本製の代表的なレザーには、栃木レザーのほかにも「姫路レザー」があります。栃木レザーは、栃木レザー株式会社が製造しているヌメ革の呼称です。一方、姫路レザーは兵庫県姫路市周辺で作られているレザーの総称で、姫路の産業の一つとして知られています。どちらも国内で製造されていますが、なめし方が大きく異なります。栃木レザーは植物性のタンニンなめしで作ったヌメ革ですが、姫路レザーはクロムなめしで製造されたクロム革です。クロムなめしは化学薬品を使用するため、経年劣化しにくいなどの特徴があります。
なお、姫路レザーの中には、クロムなめしとタンニンなめしの両方を行って製造したものもあります。
●栃木レザーの用途
従来、ヌメ革は硬くて商品化しづらい素材というイメージがありました。そこで、独自の製法によって柔らかさと丈夫さを兼ね備えたヌメ革として生み出されたのが、栃木レザーです。
栃木レザーで作られた製品はメンズ、レディースを問わず幅広く、デザインも豊富です。例えば、財布、腕時計のベルト、バッグ、靴、スマホケース、キーケースなどのファッション小物のほか、ノートカバー、筆箱、システム手帳などの雑貨にも使われています。カラーも多様で、ブラウン、ブラック、ブルー、レッド、ネイビー、グレーなど、落ち着いた色合いから鮮やかなものまで選べます。
栃木レザーの製造工程
栃木レザーは職人の手により、数多くの工程を経て作られています。ここでは、栃木レザーの製造工程をご紹介します。
●栃木レザーができるまで
(1)原皮の水洗い
塩漬けされた原皮を約24時間ドラムの中で水洗いし、汚れを落として皮に水分を戻します。
(2)背割り
作業効率を上げるために、水洗いを終えた原皮を背骨に沿って左右半分に割ります。
(3)石灰漬けによる脱毛
5段階の濃度に分けられた石灰乳の入ったピット槽に、皮を順番に漬けていきます。石灰漬けを行うことで脱毛しやすくなり、コラーゲン繊維をほぐす役割もあります。
(4)フレッシング
機械を使い、皮の内部の脂肪や汚れを除去したり、厚み調整を行ったりします。
(5)脱灰、酵解
皮を中和させ、なめした皮の表皮を滑らかに整えます。
(6)ベジタブルタンニンなめし
植物タンニン溶液の入った160もの槽に漬け込み、なめし上げる作業で、栃木レザーの品質に大きく影響する工程です。薄いタンニン槽から濃いタンニン槽へと、順番に漬け込んでいきます。これにより、皮から革へと変化します。
(7)水絞り
植物タンニン溶液に長時間漬けられた革を洗浄し、サミングセッターという機械で余分な水分を取り除きます。
(8)加脂
革に油脂などのオイルを加え、柔らかさとつやを与えます。
(9)セッター
セッターと呼ばれる機械で革を伸ばします。
(10)乾燥
約10日間にわたって革を自然乾燥させます。革の一部は乾燥後に計量し、出荷されます。
(11)革すき
加工用途に合わせて、革の厚みを調整します。
(12)再なめし、染色
再び革をなめし、柔らかさやなめし具合を調整します。色づけがある場合は、この段階で行います。
(13)再セッター
染色した革は水分を含んでいるため、サミングセッターで革を伸ばし、水分を除去します。
(14)ハンドセッター
厚手の革や伸ばしにくい革は、手伸ばし(ハンドセッター)を行います。
(15)味取り、乾燥
1~2日かけて革の水分を飛ばします。その後、季節に応じた湿度などを考慮しながら、薄手の革は4日間、厚手の革は1週間程度かけて乾燥させます。
(16)バイブレーション
機械を使用して、乾燥させて硬くなった革に柔軟性を与えます。
(17)塗装
革の美しさを調整したり、耐久性を与えたりするために塗装を行います。
(18)アイロン、仕上げ
革にアイロンをかけたり、つや出しを行ったりして仕上げます。
(19)計量
革の面積を測るため、光電式計量機にかけます。
(20)梱包、出荷
革の品質を保つために、梱包して出荷します。
【参考】
栃木レザー「PROCESS」
http://www.tochigi-leather.co.jp/process/
栃木レザーをきれいにエイジングさせるポイント
栃木レザーのエイジングを楽しむためには、普段のお手入れも重要です。栃木レザーを美しくエイジングさせ、長く愛用できるようにするためのポイントをご説明します。
●使い始める前に防水スプレーをかける
栃木レザーを購入したら、使用前に防水スプレーをかけましょう。雨や飲み物などが製品につくことでできる水シミを予防できます。シリコン系の防水スプレーは革の内部に浸透する場合があるため、フッ素系の防水スプレーが良いでしょう。
スプレーをするときは、革に近づけすぎずに一定の距離を取って吹きかけ、スプレー後はよく乾燥させます。スプレーの塗布と乾燥を数回繰り返すと、防水効果がアップします。
●水や汗で濡れたらすぐに柔らかい布で拭く
ヌメ革には水分に弱いという特性があり、栃木レザーも同様に、濡れたままにしておくと、水シミができることがあります。製品を使用するうちに、徐々に革自体の油や手の脂で保護膜ができますが、最初はコーティングがありません。そのため、栃木レザー製品の使い始めは、特に水濡れに注意しましょう。また、濡れてしまったときは放置せず、柔らかい布などで拭くようにしてください。
●汚れに注意する
栃木レザーは汚れても、衣類などのように洗うことができません。軽い汚れなら、専用のクリーナーを使用すれば落とせる可能性はありますが、こすって汚れを消すため、色落ちするおそれがあります。
汚れがひどいときは、乳化性のクリーナーを使うときれいになる場合があります。革には直接塗らずに、柔らかい布にクリーナーをなじませ、汚れた部分を拭き上げます。拭いたあとは、きれいな布で乾拭きしましょう。
汚れを落としたあとは、ヌメ革用のクリームで手入れをすると、革に栄養とつや感を与えられます。
●毎日手入れを欠かさない
栃木レザーの製品を使ったあとは、乾いた布や柔らかいブラシなどを使ってほこりや汚れを落とします。ほこりを付着したままにすると、湿気を含んでカビの原因になるからです。特に、財布や時計のベルト、靴など日常的に使うものは、手入れを毎日の習慣にしましょう。
●保管する際は直射日光を避ける
栃木レザーを日の当たる場所に置いておくと、革の油や水分が蒸発し、革切れやひび割れを引き起こすことがあります。使わないときは、ほこりをかぶらないように通気性の良い袋に入れて保管しましょう。窓際など直射日光が当たる場所は避け、風通しの良い場所に置くのが理想的です。
Knotのオリジナルベルトで栃木レザーの風合いを楽しもう
Knotには、栃木レザー製の腕時計用ベルトが数多く揃っています。例えば、テーパード形状でカジュアルからビジネス、フォーマルまで使える「栃木レザー トラディショナル シェイプ ストラップ」や、編み込みタイプで手首にフィットしやすい「栃木レザー オリジナルメッシュ ストラップ」など人気商品も豊富です。
腕時計は、購入したものをそのまま使い続けるだけでなく、腕時計用ベルトを付け替えてアレンジする楽しみもあります。高品質の栃木レザーを使った腕時計用ベルトを付ければ、お手持ちの腕時計の新しい魅力に気づくでしょう。Knotでぜひ、お気に入りの1本を見つけてください。
こちらの記事に掲載されている価格は、2022年8月現在の情報です。
最新情報は Maker's Watch Knot 公式サイト をご覧ください。