TOP > 伝えたくなる時計の話 > ウォッチワインダーとは?腕時計への負担を理解した上で正しい使用を

伝えたくなる時計の話

ウォッチワインダーとは?腕時計への負担を理解した上で正しい使用を

20-02-27

自動巻き時計は装着して腕を動かすとゼンマイが自動的に巻き上げられる便利な腕時計です。しかし、身に着けなければ針は止まってしまいます。そんな自動巻き時計の悩みを解消してくれるのが「ウォッチワインダー」です。ウォッチワインダーに自動巻き時計を入れておくと、身に着けていなくてもゼンマイを巻き上げてくれます。この記事では、ウォッチワインダーのメリット・デメリットや選び方、使用方法をご紹介します。

【目次】
1.ウォッチワインダーとは?
2.ウォッチワインダーのメリット・デメリット
3.ウォッチワインダーの選び方と使用方法
4.便利な製品だが、デメリットも存在

ウォッチワインダーとは?

ウォッチワインダーとは、「自動回転(振動)する時計用のケース」と考えるとイメージしやすいでしょう。ここでは、ウォッチワインダーの必要性とさまざまな種類についてお伝えします。

ウォッチワインダーの必要性

自動巻き時計は、手首に装着して腕を動かすことで腕時計に内蔵されたローターが自動回転し、ゼンマイを巻き上げるという仕組みです。
自動巻き機能は、毎日腕時計を使う人にとっては便利ですが、週末しか着けない人や、複数本所有して使い分けている人の場合、着用していないときに時計が止まってしまいます。
また、止まった自動巻き時計を動かすためにゼンマイをリューズで巻き上げると、部品に負担がかかり、時計が故障する原因になります。こうした自動巻き時計に関するさまざまな悩みを解決するのが、ウォッチワインダーです。
ウォッチワインダーにはモーターが内蔵されており、自動巻き時計をセットすると、自動的に回転したり振動したりしてゼンマイを巻き上げる仕組みになっています。ウォッチワインダーを使用すれば、時計の針やカレンダーを合わせる煩わしさがなくなり、いつでもゼンマイが巻かれた状態をキープできます。

ウォッチワインダーのさまざまな種類

ウォッチワインダーは、動力源や動作、収納本数の違いによって、主に5種類に分けられます。
まず動力源で分けると、「電池式」と「電源式」があります。
電池式はワイヤレス、かつ作動音が静かなものが多いので、旅行や出張などに持っていきたい人におすすめです。電源式は使用場所が制限されますが、電池切れの心配がなく動作も安定していますので、自宅用として使用すると良いでしょう。
次に動作で分類すると、「スイング式」と「回転式」があります。
スイング式は腕に装着したときの自然な動きに近い動作をするので、自動巻き時計のムーブメントに負担をかけにくいというメリットがあります。回転式は時計を回転させて巻き上げるというオーソドックスなタイプで、スイング式に比べて商品のバリエーションが豊富です。
そのほか、収納本数によって、1本のみをセットできる「1連式」や、「2連式」「4連式」など複数本同時にゼンマイを巻き上げられるタイプがあります。
ウォッチワインダーの種類によって、対応可能な自動巻き時計のタイプや値段が異なります。ウォッチワインダーを購入するときは、所有する腕時計のタイプや本数、予算、好みなどを考慮してから決めましょう。

ウォッチワインダーのメリット・デメリット

便利に見えるウォッチワインダーですが、メリットもあればデメリットも存在します。それぞれを詳しく見てみましょう。

メリット

ウォッチワインダーを使用すると、自動巻き時計が止まる心配がありません。常に身に着けていなくても、ウォッチワインダーにセットしておけば自動的にゼンマイを巻き上げてくれるので、腕時計を2本以上持っている人や、デスクワーク中心であまり体を動かす機会がないという人にとっては便利な時計用品です。
自動巻き時計は最大までゼンマイを巻き上げた場合、約48時間動き続けますから、使用後にセットする習慣をつけておけば、外出日の朝に時計が止まっていて慌てるといったストレスからも解放されます。
また、ウォッチワインダーは腕時計専用のディスプレイケースとしても活躍します。お気に入りの自動巻き時計を入れて、インテリアとして楽しむのも良いでしょう。

デメリット

ウォッチワインダーは自動巻き時計をセットすると、長時間モーターが駆動したままになります。そのため、使用回数を重ねるうちにウォッチワインダー自体の部品が劣化・消耗し、故障しやすくなると言われています。
さらに、ウォッチワインダーの継続使用によって、自動巻き時計の寿命を縮めるおそれも指摘されています。自動巻き時計は、長く使っていると歯車をスムーズに動かすためのオイルが減少していきます。自動巻き時計をウォッチワインダーに入れて、ゼンマイを巻き続けるというのは、それだけオイルを減らしていくということです。また、オイルが減った状態のままウォッチワインダーでゼンマイを巻き続けると、自動巻き機構の部品が摩擦を起こし、歯車の摩耗や故障を招く可能性もあります。
もう一つ注意したいのが時計の磁化です。ウォッチワインダーの中には、モーター部分に永久磁石が搭載されているタイプがあります。腕時計は磁化すると正常に動作しなくなってしまうので、時計のセット部分とモーター部分が近い製品を使用する場合は、定期的に方位磁石を当ててみるなどして磁化していないかを確かめましょう。

ウォッチワインダーの選び方と使用方法

ウォッチワインダーの選び方にはポイントがあります。使用方法と併せてお伝えしますので、購入前に頭に入れておきましょう。

ウォッチワインダーの選び方

・収納本数で選ぶ
1本だけ収納できれば良いという人は1連式で問題ありませんが、何本かしまっておきたい人は、収納する本数に合わせてウォッチワインダーを選びましょう。新しく自動巻き時計を購入する予定がある場合は、その本数も考慮した上で、対応するタイプを選択します。

・ケースの素材で選ぶ
時計をウォッチワインダーにディスプレイして、インテリア感覚で楽しみたい場合はケースの質感にもこだわりましょう。
多少値段は高くなりますが、本体が木やレザーで作られているタイプは高級感があります。一方、ゼンマイが巻き上がればほかの機能は必要ないという場合は、低価格で購入できるプラスチック製のウォッチワインダーがおすすめです。

・動作音で選ぶ
ウォッチワインダーを選ぶときに見落としがちなのが動作音です。ウォッチワインダーが稼働している間はモーター音がするため、モデルによっては音が気になる場合があります。
寝室や職場で使用したい人は、マブチモーター採用の製品など、静音タイプのウォッチワインダーを選びましょう。

・時計の巻き上げ方向に合ったものを選ぶ
自動巻き時計のローターには、「右巻き」「左巻き」「両巻き」と、ブランドや腕時計のモデルごとに正しい巻き上げ方向があります。そのため、所有する腕時計の巻き上げる方向に対応したウォッチワインダーを用意する必要があります。セットするときは、巻き上げ方向と動作方向が合っているかをきちんと確認しましょう。間違った方向にウォッチワインダーを回転させても、ゼンマイは巻き上がらないので注意してください。

ウォッチワインダーの使い方

ウォッチワインダーの使用方法は、基本的にどんな腕時計でも同じです。

  1. 腕時計を収納スペースにセットする。
  2. 設置部と腕時計を密着させる。設置部と腕時計(本体)の間に隙間があると振動でずれるおそれがあるので、ハンカチなどの柔らかい布をはさんで調節する。
  3. 正しい巻き上げ方向を設定して回転させる。あとは置いておくだけで自動的にゼンマイが巻き上げられる。

便利な製品だが、デメリットも存在

ウォッチワインダーは便利な時計用品ですが、使い方を間違うと腕時計の寿命を縮めたり、故障させて余計な出費を招いたりするおそれがあります。そのため、あらかじめメリットとデメリットの両面を理解し、納得した上で使用するようにしましょう。
もう一つ大事な点は、自動巻き時計は、腕の振りによってゼンマイを巻き上げたほうが部品への負担を少なくできるということです。愛用の自動巻き時計を長く使い続けたい人は、腕に装着して自然にゼンマイが巻き上がるように日頃から意識したほうが良いでしょう。

※Knotではウォッチワインダーの取り扱い、および販売を行っておりません。



こちらの記事に掲載されている価格は、2022年8月現在の情報です。
最新情報は Maker's Watch Knot 公式サイト をご覧ください。