「時計回り」は、なぜ右回りなの?
17-11-17
2017年は例年より1秒長かったこと、ご存知でしょうか。1月1日午前8時59分59秒の後に、8時59分60秒が挿入され、次が9時00分00秒。とくに1秒得した実感ありませんが、これが「うるう秒」です。
昔は、地球が1回自転すると「1日」、その24分の1が「1時間」、さらにその60分の1が「1分」、その60分の1が「1秒」というように、時間の長さが決められていました。世界で最初に「秒」が定義されたのは1799年、フランスで「地球の自転に基づき1日の1/86400」と法的に決められました。その後、技術の進歩により原子時計が発明され、1967年に「セシウム原子が91億9263万1770振動する時間」と1秒の基準が改正され、現在に至ります。
ところが、実際の地球の自転速度は一定ではなく、少しだけふらついています。そのズレを調整するために、「うるう秒」が不定期に挿入されているのです。
よく知られている「うるう年」は、地球の公転に関係しています。現在の太陽暦では、1年は365日ですが、実際に地球が太陽のまわりを1周するのには、365.2422日かかっています。だから4年に一度、2月に1日加えて29日にすることによって調整しているわけです。
その1秒1日1年を刻んでいる時計は、「地球の動き」を刻んでいるとも表現できます。これまで人類は、その“精度”をいかに高めるかに挑戦してきました。
人類最初の時計である「日時計」は、紀元前4000年~3000年、エジプトで誕生したといわれています。すでに現在に近い暦があり、ピラミッド自体が巨大な日時計という説もあります。当初の日時計は地面に日陰棒を立て、太陽光を受けて影が移動するのを読み取るシンプルなものでした。太陽光がないと機能しないという欠点はありますが、仕組みが単純でコストが安いため、13世紀に北イタリアや南ドイツで機械式時計が発明されたあとも、世界中で使われています。
時計の針が右回りなのは、この日時計の影の動きにならったからというのが通説です。ただし、南半球では日時計の影は左に回ります。古代文明の発祥が、もし北半球ではなく南半球だったら、時計回りは左回りになっていたかもしれませんね。
ちなみに日時計の影は北極点に近いほど短くなり、逆に赤道では影が長くなります。古代文明の発祥地はわりと赤道に近く、影の長さがちょうど円状の目盛りにぴったりだったのです。ちなみにヨーロッパの中部から北部では、太陽の光の指す角度が立ち過ぎて、地上では円形になりません。そのため、建物の外壁に設置する形態で日時計が普及しました。
今も昔も、夜空の星は地球の動きによって東から西へ流れ、季節によって見え方が変わります。時にはゆっくりと秋の星空を見上げて、しばらく忘れていた天空のロマンを思い出してはいかがでしょうか。
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